2015年7月2日 星期四

清朝のアムール政策と少数民族


東洋史研究叢刊之六十九(新装版 7)

松浦 茂



A5上製・530頁・税込 7,560円
ISBN: 9784876985272
発行年月: 2006/02

書評
『社会経済史学』Vol.72, No.5,2007、評者:中見立夫氏
内容17世紀以降のアムール川・サハリン地区は歴史の闇に閉ざされてきた。近年の史料公開を受け、世界に先駆けて、当地の政治、経済、社会、文化…と、多面的にとらえ、世界史の一環として位置づけを与えた先駆的な研究書である。中国・ロシア・日本の中間にあって、利害が激しく対立した地域だけに、それぞれの近代史研究に与えるインパクトも大きい。

目次序文
第一部 清朝の北方調査
第一章 ネルチンスク条約直後清朝のアムール川左岸調査
はじめに
第一節 アムール川左岸調査隊の結成
第二節 アムール川左岸調査の概要
第三節 ランタンの地図と国境の問題
おわりに

第二章 一七〇九年イエズス会士レジスの沿海地方調査
はじめに
第一節 中国在住イエズス会士のエゾ観
第二節 一九〇七年にレジスらが通過したコース
第三節 レジスのエゾ研究
おわりに

第三章 一九二七年の北京会議と清朝のサハリン中・南部進出
はじめに
第一節 清朝のサハリン北部進出
第二節 ロ清の国境交渉とホマンの地図帳
第三節 北京会議後の清朝のサハリン中・南部進出
おわりに

第二部 アムール川水系の経済構造と商人
第四章 十七世紀アムール川中流地方住民の経済活動
はじめに
第一節 アムール川中流地方の住民
第二節 交易の民としてのアムール川中流の住民
第三節 アムール川中流地方の住民と清朝の関係
おわりに

第五章 十八世紀アムール川下流地方のホジホン
はじめに
第一節 アムール川下流辺民の北京行
第二節 ホジホンとサルガンジュイの再上京
第三節 ホジホンと北方交易
おわりに

第六章 十八世紀のサハリン交易とキジ事件
はじめに
第一節 アムール川下流のホジホンとサハリン交易
第二節 キジ事件の顛末
第三節 キジ事件後のサハリン交易
おわりに

第三部 アムール川中・下流地方の辺民
第七章 アムール川中・下流地方の辺民組織
はじめに
第一節 太宗時代のウスリ川下流、アムール川中流地方の攻略と辺民制度の起源
第二節 順治以降のアムール川下流地方への進出
第三節 アムール川下流・サハリン地方の辺民組織
第四節 辺民の戸籍とその継承
おわりに

第八章 康煕前半におけるクヤラ・新満洲佐領の移住
はじめに
第一節 康煕九年のクヤラ佐領編成とその吉林移住
第二節 康煕十三年の新満洲佐領編成
第三節 新満洲佐領の移住
おわりに

第九章 十八世紀のアムール川中流地方における民族の交替
はじめに
第一節 十八世紀初めのアムール川中流地方における民族分布
第二節 雍正十年における八姓佐領の編成
第三節 七姓ヘジェの構成と中国領赫哲族の起源
おわりに

第四部 清朝のアムール統治システムと辺民社会
第十章 清朝のアムール地方統治
はじめに
第一節 ニングタ副都統がアムール地方に派遣した旗人
第二節 イランハラ副都統がアムール地方に派遣した旗人
第三節 旗人の職務とその規律
おわりに

第十一章 ウリンの輸送問題と辺民制度の改革
はじめに
第一節 ウリン輸送の迅速化とウリン縫製の中止
第二節 ウリン需給の不均衡と辺民の定額化
第三節 ウリン輸送の合理化と乾隆四十四年の改革
おわりに

第十二章 繊維製品の流入と辺民社会
はじめに
第一節 アムール川下流地方への繊維製品の流入
第二節 ウリンの構成
第三節 繊維製品の流通と辺民の衣服
おわりに

附篇第一 十九世紀におけるアムール川下流地方辺民の貢納状況
附篇第二 間宮林蔵がデレンで出会った中国人

あとがき
参考文献
索  引
英文要旨

──────────────────────────────────────
松浦 茂 (まつうら しげる) 教授
地理学・歴史学

専攻 / 講座 / 分野
共生文明学/比較文明論/地域文明論

研究分野

東北アジア史、東アジア地理学史 

キーワード
アムール川、辺民、ウリン、エゾ問題、ランタンの地図、中継交易、満洲語档案、清初史、東アジア地理学史、アムール史

研究テーマ
中国東北地区とアムール=サハリン地方からなる東北アジア地域は、日本・中国・ロシアの間にあって、独自の歴史的役割を果たした地域であった。第一次資料である満洲語档案・漢文史料・欧文史料などにもとづいて、東北アジア地域と周辺地域との政治・経済的な関係、および少数民族の社会と文化を考察する。それとともにヨーロッパ人の東北アジア研究史を、世界的な観点から見直す。具体的には中国に滞在したイエズス会士の東北アジア研究や、ロシア人のシベリア調査を、当時地理学上の大問題であったエゾ問題と関連づけて考察する。これによりアジア史の中に、東北アジア史の地位を確立することを目指す。このような課題を達成するための研究指導を行う。

代表的著書,論文等
『清の太祖ヌルハチ』(白帝社,1995年)
「十八世紀アムール川下流地方のホジホン」(『東洋史研究』第55巻第2号,1996年)
「ネルチンスク条約直後清朝のアムール川左岸調査」(『史林』第80巻第5号,1997年)
「十七世紀アムール川中流地方住民の経済活動」(『東方学』第95輯, 1998年)
「一七〇九年イエズス会士レジスの沿海地方調査」(『史林』第84巻第3号,2001年)


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