2020年7月5日 星期日

『歴史学専攻だより』 河内先生の近況報告






『満洲語辞典 改訂増補版』の発刊と『総索引』の編纂
  河内良弘(名誉教授)

 『満洲語辞典 改訂増補版』がようやく出版発売のはこびになりました。前著『満洲語辞典』が発売されたのは2014年6月のことで、さいわい辞典は世の人々の支持を受け、好評を博し、順調に売れゆきを伸ばしてきましたが、このたび誤りを改訂し、更に「満洲語付 六部成語」を増補したうえで『改訂版』を出版することになりました。印刷 中西印刷株式会社 京都、発行 松香堂書店 京都、発売 東方書店その他、定価3万円です。
 実は『満洲語辞典 改訂増補版』と共に『満洲語辞典 総索引』の編集も同時に進行させてきましたが、『改訂版』の方が先にできました。『総索引』の編集も完成に努力しています。
 このたびの『総索引』および『改訂増補版』の出版にさいしては、中国満洲族の人々から多額の寄付金の捐助を受けました。事の発端は2017年末、DCNB 日本龍之昇中文網絡電視台台長の完顔祺閣さんが拙宅に見えてインタービュのマイクをさしだされたことです。私のような一介の日本の貧乏満洲学者の『辞典』のことなど、中国の人々の関心をひくこともあるまいに、と半信半疑で質問に答えました。自分では気がつきませんでしたが、「出版費がない。金がない」と思わず何度か、日頃の思いをつぶやいていたらしいのです。その動画はその日の中に全世界に発信されました。それが人々の目にとまり、注意を喚起し、はからずも『満洲語辞典 総索引編』出版のための捐款(義援金)募集という動きにまでになりました。そして集められた尊い義援金は2018年6月30日、完顔祺閣さんが奈良の拙宅に届けられました。私は驚嘆して言葉を失いました。私は中国の大部分の人々は、一部の研究者を除いては、少数民族の言語などに興味を持つ人はいないだろうと思っていました。しかし目の前にあるこの多額の義援金は、言語と文化の存続と興隆に対する中国満洲族同胞の熱意の結晶です。私は涙の出るほど感動し、この義援金を額におし頂いて感謝し、有り難く拝受しました。
 現在わたくしは中国満洲族同胞の熱い思いを背に受け、『満洲語辞典 総索引』の完成に向け日夜努力しています。


(天理大學『歴史学専攻だより』第8号から再掲しました)

沒有留言:

張貼留言